日記帳。



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2oo3.o9.o5____つのだせ やりだせ

『ウチのカメが脱皮した。』


友人は風のようにつぶやいた。


カメを飼っている、それだけでも驚きだってのに、そのカメが「えいや」と皮を脱いだと言う。ぼくの貧しい想像力では、その姿を現実世界の次元に作り置くことができません。そんなばかな。世の中、知らないことばかりです。


友人が飼っているのは小さいミドリガメだそうな。彼はよく「カメで遊ぶ」らしい。



ミドリガメを手のひらに乗せてみるのだ。


あたまを「つん」と触ってみるのだ。

カメは「くくっ」とあたまを引っ込めるのだ。


右足を「つん」と触ってみるのだ。

カメは「くくっ」と右足を引っ込める。

同時に、「にょき」とあたまが出てくるのだ。


左足を「つん」と触ってみるのだ。

「くくっ」と左足を引っ込める。

同時に、「にょき」と右足が出てくるのだ。


右足を「ぐぐっ!」と押し込んでみる。

「むぎゅっ!」と左足が出てくる。


左足を「ぐぐっ!」と押し込んでみる。

「むぎゅっ!」と右足が出てくる。


右足と左足を同時に「めきめきっ!」と押し込んでみる!

同時にあたまをっ!!





・・・ふつーにかわいそうだよ、それ・・・。




「今度、ヌケガラ持ってくるね♪」

期待してます。



2oo3.o9.o6____とぼけた顔して ババンバン

きょう、「アド街っく天国」を見ていた。

この番組では「あしたのジョーほう」というコーナーがある。番組の放送のあった次の日、「アド街見たよ」と言えば値段を割り引いてくれるという店を紹介するコーナーだ。庶民性が売りの「アド街」では、こういった生活に結びついた情報は番組すべての情報を身近にする。この際、視聴者がその店を訪れるのかどうかは二の次でよい。とりあえず毎回一軒ずつ、そういった店が紹介される。

今回はある宝石屋さんが紹介されていた。




店長:

「あした御来店の方で、

『アド街見たよ』と言っていただいた方は、

この水晶のブレスレット、

5万円のところを

2万円でお売りいたします!

限定300名!」




・・・宝石商は、いまいち信用できねぇ。



2oo3.o9.o7____made in japan! made in japan!

新庄が二軍からあがってこない。
マイナーリーグが全日程を終えてしまったので、実質的に新庄は、今期の一軍昇格は「なしよ」である。一方日本では阪神が実質的にもう「消化試合」の様相を呈しているほどぶっちぎりの勝率であるから、はたして新庄の心境はいかに。

しょうがないので、インタビューのとき、新庄はあるパズルを紹介したりしていた。もうヤケクソである。
で、その問題と言うのが次のものである。



問題


上の星型の図に、「直線」を「2本」加えて、「三角形」を「10個」にする、という奴である。もちろん「三角形」は互いに重なっていてはいけない。たとえば下のように引けば、三角形は8個になる。



例


この問題は、「パズルに係わっている人」にとってはかなり有名である。線を引かせて三角形を作らせるパズルはたくさんあるが、ここまでシンプルで、かつ難しくて、答えの美しい問題はそうそうなく、いまだに語り継がれている白眉中の白眉なのだ。

ほかにも「正直族とうそつき族」だとか、中村義作さんの「4本の電気ひも」だとか、「すれちがう蛙」、「3人の囚人」など、美しい答えを持つ問題はたくさんある。これらすべては日本人によってつくられたものだ。ちがったかな?ペンシルパズルの世界でも「お絵かきロジック」というパズルが西尾徹也さんによって作られた。これは外国では"paint by numbers"の名前で親しまれているが、"Japanese Puzzle"といえば、もうこのパズルをさすことになっている。

1913年、アメリカの新聞でクロスワードパズルが発表されて90年、日本がなければ今のパズルの発展はなかったと言っても過言ではないだろう。現に、ぼくが今年参加する『世界パズル選手権』でも、去年は日本チームが世界一になった。なぜなら日本の技術が一番美しく、すべての基準が日本のスタイルに合わせられてきているからだ。
これは他の分野でも同様であろう。芸術性を尊ぶジャンルでは、結局日本が一番繊細で美しく、ジャパニーズスタンダードは近く未来の世界水準なのだ。



だから新庄も、日本に帰って来い。







追記:(2oo3.o9.27)
上の問題の答え↓。う、美しい!
解答



2oo3.o9.1o____人さしゆび空に向け 引き金を引きたい

うちの研究室には、よく卒業生が遊びに来る。何をするでもない、ただダベって帰るだけだが、時に在院生の夕食代が浮いたりするので、彼らの登場は我々の喜びを生んだりする。

きょう、研究室に先輩がひとり遊びにきた。
その先輩はいま、「カソーケン」で働いている。

「カソーケン」というのは、正式に言うところの

科学捜査研究所

であり、要するに警察官だ。

「この土と土が同じものか調べて」

「このガラスとガラスが同じものか調べて」

「2日以内にお願い」

そんなことを次から次へと頼まれて、そして臨機応変に対応する、そんな仕事である。おもしろそう。


・・・ちなみに彼の愛するところの彼女も、我が研究室の卒業生である。『ピンクの研究室』を形成したふた組のうちの、片割れである。(→2oo3.o1.21)
彼女は高校の時、常に全国模擬試験で100位以内、センター試験は700点オーバー、うちの大学にだって、東大に落ちたからしょうがなく後期日程でやってきたというツワモノなのである。そして彼氏は科捜研。聞いただけでも気持ち悪くなるようなカップルだが、どうやら近いうちに結婚するとかどうとか。よかったね。





で、その先輩がきて、いろいろと科捜研の話を聞きました。

彼は岐阜県の科捜研に勤めている。主な仕事は「覚醒剤の同定」らしい。
覚醒剤を使用しているかいないかは、血液から調べたりもすることもあるらしいが、ほとんどは「尿」を使って調べるようです。尿から覚醒剤の成分を抽出するわけなのだな。
だもんで、彼の元には岐阜県中のありとあらゆる尿が集まるのです。ひー。


覚醒剤のうちでいちばん多い種類が、下に示す構造の物質らしい。意外と簡単な構造なので、一同びっくり。



覚醒剤(軽)

そこにヒドロキシル基がつくと、その人の罪は重罪になるらしい。



覚醒剤(重)

ふーん。



あと先輩は、

「研究所には血のついた包丁がたくさん並んでる。」

とか、

「公務員って、好景気の時は何も言われないのに、不景気になった途端に悪者扱いでさ。させられたよ、減給。」

とか、

「『あの人が事故した』とか、すぐに分かるんだよね。もちろん口外したら罪になるんだけど。」

とか、

「うそ発見機で遊んだよ。『おまえは分かりやすい』って言われた。がんばったのに。」

とか、一般人には縁うすい話題をシコタマ提供して下さいました。
うむー、ケイサツカンかー。
彼との縁は切れないようにしておこうっと。
打算的。



2oo3.o9.12____あなた好きな 自分ちょっと 嫌いになってきた

自分の研究室を批判するつもりはないのですが、

やっぱり卒業する生徒の全員が、
「化学嫌い」
になって去っていくような研究室は、どこかが間違っていると思うんですよ。



ぼくは、
「イチバンはじめにやる実験がうまくいかない場合、その学生は大きくやる気をなくす」
ということを経験上よくワキマエテいるものですから、後輩がなにか初めての実験をする時は、しっかり彼をマークして、失敗しないようにいろいろと面倒を見てやるように心掛けているんです。化学に対してやる気をなくしてしまうことは、とても悲しいことだと思うので。・・・それと同じくらいに、「化学が楽しい」と感じてしまうことも何だか悲しいことのような気がしますが。
少なくとも化学科にいる間は、化学を嫌いになってはいけないのです。



きょう、後輩のひとりが、はじめて反応速度論的な実験にたずさわりまして。

ぼくは彼を、ぴったりマーク。

ところがぼくの知識不足で、実験は不可解にも原因不明の大失敗。

後輩はすっかりやる気をなくしまして。

自分はどうすればいいのかな。



2oo3.o9.14____適当にやって ほんのちょっと楽しめたら まぁなんとか生きてけるけど

きのう、
『ビートたけしの!こんなはずでは!!』
を見た。

今回の放送では、全日本パズル選手権の優勝者である「有松さん」が出演するということもあって、楽しみにしていたのじゃ。ぼくはその選手権で2位だったので、
「悔しいじゃ。もう少し頑張れば、たけしに会えたじゃ。ぼくの華麗なたけしの物まねをブチかますことができたのに、じゃ。」
などとつぶやきながら、チャンネルをテレ朝に合わせたじゃ。ヴィデオも標準で、録画オッケーなのじゃ。


ぷるるるーん。


滅多に鳴らないウチの電話がぷるるるん。ちょうどテレビで「有松さん」の登場と同時にぷるるるん。

「むむ、このタイミングは、間違いなく『パズル関係の友達』だなっ」

そう思って受話器を握れば、案の定。


「もしもし!」


選手権9位のS君である。


「あー、今見てるよ。有松さんでしょ?」

「なんだ、知ってたのか。」


このS君は、パズル歴が浅いせいか、かなりパズルに対して熱いものを持っている。少なくとも、ぼくよりは熱い。ネット上に「パズル愛好会」みたいな集まりがあるらしく、そこに頻繁に出入りしては、盛んに発言しているという。いい意味で「パズルおたく」だ。
ぼくは小6からパズル雑誌を講読していて、日本におけるパズル界の成長の歴史を熟知している者であり、大げさな話でなく自分もその歴史の一端を担っていたと自負するところがあるので、彼の「熱さ」が、いささか「暑さ」に感じられるところがあるのだが、ま、今年は夏が短かったからちょうどよいじゃ。青春を思い出すじゃ。うじゃ。


で、電話しながら二人してテレビを見ていたのだが、有松さん、3分しか出ねぇでやんの。

この番組、今回の放送のテーマは『天才』であって、いろんなジャンルの天才を集めて、みんなで「すごいすごい」言う企画だったようだ。しかし番組は明らかに人選に失敗した。パズルは所詮ゴラクであって、一般に言うところの「天才」だとかいう言葉とは種の異なる存在である、そのことを番組は理解していなかったのだ。
テレビでは彼に、選手権の決勝戦で「一回やった」立体パズルを「再び」やらせていた。それでほかの芸能人と競争させて、有松さんが1分ちょっとで組み上げて、「すごーい!」の声。カタハライタシとはこの事だ。



「一回やった」立体パズル


さいころを組み上げた後で、有松さんはそのパズルの「解き方」の「種明かし」をした。補足して書き落としてみると、


「この2と3と6、そして4と5と6の集まったカドには、シールの3つ張られたブロックが来ないといけません。そんなピースは2つしかないので、その位置は必然的に決まります。それを基にしてとき始めるんですね・・・」


ということである。
つまり、パズルには必ず「解き方」というものが存在するのである。その「解き方」をいかに早く見つけるかにパズルの醍醐味があり、そこのみがポイントで基本的に後半は「試行錯誤」だ。
そー言うことだから有松さんの能力は、番組の望んでいたような、たとえば

「右脳で作った各ブロックの立体的イメージを仮想空間の中で組み立てて考える前に答えが浮かぶ・・・」

とか、

「左脳においてすべての可能性を一瞬のうちに評価して・・・」

とか、そういった『天才』とは、全然ちがう能力なのだ。




パズルとは、わざと、そして必ずヒントがどこか作られてあるものであり、パズルを作る人との知恵比べゲームなのだ。考えてみて欲しい、そこにヒントも何もなく、試行錯誤によってちまちま試すことでしか解けないのなら、そんなつまらない話は無いだろう?一見では解けるはずのない問題が、ある一点の急所をつくことによって「ちゃちゃっ」とできてしまう、そこに快感があり、娯楽としての存在理由があるわけだ。少なくとも、今現在のパズル界の、最先端の主流はそうである。すべての問題に「急所」を作ることが、作り手のマナーなのだ。


だから、一度解いて「急所」というか「解き方」を知っている問題を再度やらせて、その時間を計ったところで何の価値もない。番組は"「解き方」を見つける早さ"に注目して、有松さんを紹介しなければいけないのだ。
先の全日本パズル選手権の本番で、このパズルを6分以内に解いた人は7人しかいない。ぼくはホントに6分ぎりぎりで完成させたのだが、有松さんは確か3分30秒で「急所」を突いて解いてしまったのだ。そういったことを紹介しなければ、彼を出演させた意味が何もない。


「一等賞になったから、『天才』なんだろう。」


番組プロデューサーの安直な思考と、そして不景気にあえぐ世界文化社の売り込み。両者のがむしゃらに積極的な拡大思考によってこの悪夢は生まれた。あんな扱いじゃあ、「選手権優勝者としての」有松さんの人格に対して失礼だろ。テレビを見ていて、かわいそうでならなかった。





ほかにその番組で、「円周率を四万桁覚えている人」も紹介されていた。例によってヒトトオリの「すごーい!」の後、おもむろにフリップを取り出す彼。


「実はすべて、ゴロアワセで覚えているんですよ。」


・・・番組の定義する『天才』とは何ですか。「結果がすごい人」ですか。「結果がすごい人」を集めればそれで満足ですか。





頭数ばっかり増やすことでハクをつけようとして、その本質に迫ろうとしない。そんな努力の見られない適当な番組作りをしていると、9月いっぱいで終了、とかそんなふうになっちゃいますよ?


・・・番組が打ち切られた後に思って遅いんですからね、

『こんなはずでは!!』

って。





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