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 二九九九年、世界はある予言者の存在に湧いていた。

 突如マスコミに姿を現したその男は、一つ、また一つと自然災害を予言していき、そしてそれらすべては、数日のうち、確実に、当然であるかのように発生している。
 かつての、あまたの予言者と名乗る者にはない確実性と具体性により、彼を支持する者は日に日に増加している。もちろん否定的な意見を持つ者も現われ、国家単位での大論争が巻き起こり始めていた。
 人々は次の予言を期待し、また同時に、すべての予言者がしてきたように、彼も「世界滅亡」の予言をするのではないかという不安を感じ、恐れを抱いていた。
 今、世界は彼を中心にしてまわっている。

 その世紀末の予言者の名はムラサキ――――ハツキ・ムラサキといった。




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